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Iの声は次第に、重みによって押し潰れるかのように低く、どす黒く染まって行った。
彼を抑制していた”悲しみ”は、自由を奪われされるがままに暴行を受けるSの中に全て流れ込んでいく。
そのために、その暴走を止めるものは無かった。
それもIが望んでいる事なのだ。
虚しい、円環の構造だった。
これは、彼の肉体の滅びるまで続くのだろうか。と、一瞬Iの”自我”が囁いた。
いいや、それすらも望めない。と、Iという名の、衝動の化身は応える。
身体が壊れることはない。この運動は永遠なのだ。そのように、創られているのだから。
Sは理性的な言葉よりも先に、体に加わる衝撃に耐えられなかったのか、反動的な声を上げた。
普段、何も”考えなかった”時に比べれば、随分と感度のよくなったものだ、とIは蔑んだ眼差しを向ける。
「君は所詮、鏡に過ぎなかったんだ。俺を生かすために機能する、俺の身体の一部に過ぎなかった。…そんな事、初めから解ってたはずなのにね。きっと、夢を見て居たかったんだろう。そして、君はそんな俺の願望を叶えるために、全ての行動を決定していた。きっと、その表情の細やかな動き一つ一つまで全て、計算でできているんだ」
Iの瞳に写る、血まみれの淫らな動物は、いじらしいSの姿などではなかった。ましてや愛おしい兄弟などでは到底あり得なかった。
”これ”に心などなかったのだ。
ただ俺の忌まわしく陰惨で、気味の悪いほどに歪んだ性の潜在的な欲望を映し出し、それを俺の目の前まで引きずり出す、悪意の機械なのだ。
Sは「違う」とうめいた。
まるで死にかけの、のどを潰された子供のけだもののような、ひどく掠れた力のない声だった。
「なにが」
Iは、まるで自動的に動き続ける機械のきしみのように、その声に応答してみせた。
彼は、涙を流していた。
Iの中にはもはや、怒りの衝動しか残ってはいなかった。
その事実はIの中、意識の深淵に追いやられたIの冷たい理性が、理屈の上で理解しているようだった。
―やはり、彼は”俺”なのだ。
彼は”俺”から、彼を傷つけなければならない己の悲しみと、苦痛と、俺が俺から拒絶したもの全てを引き受けて、それを表現しているのだ。
目も当てられない、醜悪な、卑しい俺の人格。
それを打ちのめすほど、彼が涙を流し、苦しみのうめき声を上げるほどにIを突き動かす怒りは増幅し、激しい快楽をもたらした。

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