鳥居の向こうに、夜へ続く橋がみえる。
無意識に踏み出した足が、木でできた橋の床をこか、と鳴らす。
夜風が不意に髪を攫った。
次の瞬間、弾けるように、体を覆っていたたくさんの異形が剥がれ飛ぶ。
黒い、黒い空には星が瞬いている。
「あ……」
思わず声が漏れた。空を割るように、大きな、大きな、流れ星。
背後で、さく、と草を踏む音が聞こえた。
「おうし座流星群の北群がな、ちょうど極大なんよ」
聞き覚えのある声。
「おかえり。結構時間かかったなぁ」
見覚えのある顔は、涙でぐしゃぐしゃだった。
「ただいま」
コメント欄を閉じる